今回は、ヴォイス道の発声の基礎トレーニングについてご説明したいと思います。
まず声を出すための構成要素として大まかに分けると下記の4つ。
声の4つの構成要素
◆ 音量(声の大きさ)
◆ 高低(声の高さ)
◆ 持続時間(声の長さ)
◆ 声の特徴(声色を変える)
表現者にとって、これらを思うようにコントロールできるようになることが理想です。表現力が格段にアップします。
ヴォイス道ではこれらのコントロール力をアップするために、一番重要な呼吸法に重点を置いてトレーニングを行っているのですが、それぞれの項目についてなぜ呼吸が重要かをご説明しますと、
◆ 音量(声の大きさ)
例えば、声の音量を大きくするのには、響きをよくすることでも音量は大きくなりますが、息の圧力を使うことでラクに大きな声が出せます。また小さい声やピアニッシモで歌うのも息のコントロールが不可欠です。
◆ 高低(声の高さ)
声の高さも響きをうまく使ってラクに出せるようになりますが、その高い響きを出すための息のラインを高くする必要があり、高音を出すためには弱い息では高い響きの位置まで届きません。
◆ 持続時間(声の長さ)
声の持続時間はいわゆる歌でいうロングトーンですが、長い息でロングトーンが歌えれば美しいビブラートができたり、観客からの拍手を誘うことができたりします。アナウンスでも長いフレーズが読めれば、句読点まで区切らず、滑らかにアナウンスできるようになります。
◆ 声の特徴(声色を変える)
表現力をつけるために声色を変える技術ですが、基本的な声色はそれぞれの人の骨格によるところが大きいですが、口の形や舌の位置、表情や声を出すポイントなどを変化させることにより、声色を変化させることが可能です。この項目については別の機会に改めて書かせて頂きます。
というわけで呼吸法に重点を置きながら、上記の声の音量・高低・長さ等をコントロールできるようにするために、ヴォイス道で行っている発声の基礎トレーニングをご紹介します。
ヴォイス道の発声の3つの基礎トレーニング
① 呼吸力を高める(息の使い方)
② 声帯の振動をよくする
③ 声の響きをよくする
②、③を効率よく行うためには、①の呼吸力を高めることが重要であるため、呼吸のトレーニングに比重を置いています。
① 呼吸力を高める(息の使い方)
呼吸をしやすくするために、呼吸のための解剖学、肩甲骨や内臓を緩めるストレッチ、気道を通りやすくするための舌のストレッチ、姿勢の改善などをご説明し、ウォーミングアップを行います。発声も運動ですから運動同様のウォーミングアップが理想です。
それに加え、発声のための呼吸法として、上記の持続時間を長くするためや強弱をつけるための吸気と呼気のトレーニング、リズムトレーニング、それから歌や話し声のために一定に息を吐くためのトレーニング、強弱をつけて息を吐くトレーニング、効率よく息を吸うトレーニングなどを行い、息の使い方をレッスンします。
② 声帯の振動をよくする
声帯の振動をよくするためには、一定の圧力で息を吐く必要があります。息漏れや息不足は声帯にダメージを与えます。どちらの場合でも声は出ますがのどを痛める原因になります。出したい音量等に合わせた一定の息の流れで声出しをしていきます。
また、声帯の振動をよくするためには声帯の状態が健康であることが一番なので乾燥を防いだりするためのケアや声帯周りの筋肉のストレッチやトレーニングも行います。
ちなみに年齢を重ねると声帯の状態は悪くなってきます。声がかすれているハスキーボイスも声帯の状態がいいとは言えません。しかし、ハスキーボイスでも魅力的な歌を歌っている歌手は多くいます。この声帯の状態をフォローできるのも息が効率よく流れていることなのです。
③ 声の響きをよくする
声の響きがあると、聴いてる人に心地よさを与え、響きだけでもある程度の音量の増幅があります。音とは空間の振動なので響きが良いといわゆる伝導率が高まるわけです。
声の響きをよくするためには、身体の力が抜けていることが重要ですが、それに加え発声するポイントが重要になります。響きの良い声を出すための「息のライン」があり、ヴォイス道ではそれをお教えしています。その息のラインで発声すると声がよく響き、音が明瞭になり、滑舌もしやすく、高音も出しやすくなります。
以上、ここまでご説明した内容は、発声の基礎トレーニングとして「発声のための呼吸法ワークショップ」でも行っています。
そして発声の応用として構音(滑舌・音程・歌唱)のトレーニングを行います。これらは基礎トレーニングができていると上達がとても早くなります。 最終的に歌や喋りの要となるリズムも呼吸力がとても重要になると考えています。
発声も様々な器官の連携の元に可能となっているため、その機能を退化させないためには続けていくことが肝心です。使わない機能や筋肉は退化していきます。
発声のための呼吸法ワークショップは、続けて頂くことで発声の基礎力を持続できるほか、緊張や気を整える呼吸法、体調管理としての呼吸法もお伝えしており、大変おすすめです。ご興味がおありでしたら一度参加して頂ければ幸いです。
また、個人レッスンではこれらの考えをベースに表現するためのメンタル強化のマインドセットを含めたレッスンを行っております。個人レッスンの受講もお待ちしております。