◆ 折笠マリコ <Mariko Orikasa>


◆◆◆~折笠マリコからメッセージ~◆◆
私自身、小さい頃は人前に出て歌うなんて考えられないくらい人見知りでした。しかし幸い父が歌好きで、歌を教えてくれていたおかげで小学校の学級会に突然、歌わされた時に、普段教室で目立たない私が思いの外、歌えたことでたくさんの拍手をもらうことができました。それが人前でもどんどん歌い自分をアピールできるようになるきっかけになりました。 そうして歌う仕事をするようになり、歌の仕事であちこち飛び回っているとき、私はボイストレーニングが嫌いでした。歌う仕事をしているのでトレーニングをするべきだと思い、時々レッスンに行くのですがちっとも面白くない。 それに高音も苦手で上手く出せないし、先生に聞いてもやり方がよくわからないので、結局ずっと自己流で歌っていました。だから当時はしゅっちゅう声が嗄れて出なくなっていました。 洋楽のソウルナンバーをパワフルに歌うアーティストに憧れて、真似をするように激しくシャウトしたり、ガナったりを自己流で、長いステージをこなしていました。幸いのどは強い方だったようでポリープにならなかったことは驚きですが、結局、甲状腺の病気になってしまいました。 この甲状腺の病気は、喉に力の入った歌い方をすることが原因なのかわかりませんが、診察の待合室で聞こえてくる会話で、歌い手さんだとわかる方が多いように感じました。 歌うことができなくなるとか声が出せなくなるというようなことは何か問題が起きなければ考えもしないことです。しかし問題が起きてから取り返すのは至難の技です。また、10年のブランクには10年のリハビリを要しました。 歌うことができなくなってそこからまた歌が歌えるようになったという経験はとても辛いことでしたが、ボイストレーナーをしていく上では強みになりました。最初から苦も無く歌える先生には「なぜできないかわからない」のです。自分ができない辛さをわからない先生はできないことに苛立つので、先生の怒りの恐怖から思うように歌ったり声を出したりできなくなってしまった生徒さんも多いのです。 大好きなこと、生きがいになることを続けていく上で、「準備をしておく」ことの大切さを思い知りました。そして何事も途中で止めてしまわないこと、そして成功は失敗という土台の上にあるということ。 失敗は恐れるものではありません、むしろ歓迎すべきもの。

