最近、「なんだか声が出づらいな」「声が疲れやすくなったな」そんなふうに感じることはありませんか?
「歳のせいかな…」と諦めたり、「喉がおかしいのかな?」と心配になったりもしますよね。声帯自体に病的な問題がないかは、まず声のクリニックなどで確認していただくのが前提ですが、医学的な問題がないとしたら——
発声も運動と同じで、しっかり声を出していないと、だんだん出しづらくなってきます。しばらく走っていないと走るのがしんどいのと同じですね。
今回は、声が出づらくなってきたときに知っておいてほしい、簡単な「声の仕組み」と、まず試してほしい具体的なケアについてお話しします。
声は喉だけの問題ではない
声を出すとき、声帯だけでは音になりません。
風車をイメージしてみてください。風が吹いて初めてぐるぐる回りますよね。声も同じで、喉にある声帯が「下から送られてくる息」という風を受けて、プルプルと振動して音になります。
つまり、喉だけで声を出そうとしていないか。息がきちんと流れているか。そこを見直すことが必要なんです。
なぜ声が出づらくなるのか
年齢とともに声が出づらくなる大きな原因のひとつが、息を吐き出す力——「呼気力(こきりょく)」の低下です。息を押し出す力が弱くなると、喉に届く「風」も弱くなります。
若い頃は、息が弱くても、力を入れることでなんとか声を出すこともできていました。でも年齢とともにその力も衰えてくる。「息の不足」と「筋力不足」のダブルパンチが、声の出しづらさにつながっていきます。
身体の状態から見直す
声が出づらくなってきたら、まず必要なのは発声をくりかえすことではなく、姿勢や呼吸といった身体の状態を見直すことです。
肋骨の動きが悪くなると、息が吐きづらくなります。そして息が吐きづらいということは、息が吸いづらいこととイコールなんです。
実は肋骨の動きが悪くなる原因のひとつが、吸って吸ってを繰り返して、肋骨が開いたまま固まってしまうことなんです。開いたまま固まっていると、
それ以上、吸うことも吐くこともしづらくなります。だからこそ、まずは息を長く吐き出す練習が、改善の第一歩になります。
今日のワンポイント:ストローぶくぶくトレーニング
今日から試してほしいのが「ストローぶくぶくトレーニング」です。
ペットボトルに半分くらい水を入れて、ストローで息を吹き込み「ぶくぶく…」と泡立てます。
- リラックスして姿勢を整え、下を向かないようにストローをくわえます
- 泡の大きさと音を一定に保ちながら、できるだけ長く息を吐き続けるのがコツです
- 泡が大きくなったり小さくなったり、途切れたりするのは、息のコントロールが不安定な証拠です
一定の勢いで長くぶくぶくさせることで、喉に負担をかけずに、声を支える「息の土台」を安全に育てることができますよ。
ぶくぶくに慣れてきたら、「ウー」と声を出しながらやってみてほしいですが、正しくやるのが少し難しいので無理せずやってみてください。
生徒さんのエピソード
以前、オンライン会議への出席が増えて通ってくださっていた生徒さんがいました。ご退任をきっかけに一度レッスンをお休みされていたのですが、
3年ほど経って、日常の声が出づらくなってきたと感じ、またレッスンを再開されました。「声もケアをしないと、やっぱり出づらくなるんですね」と、ご本人も実感されていて、トレーニングを続けてくださっています。
おわりに
声が出づらくなってきたら、私はまず「姿勢」や「呼吸」という土台から整えます。
声と身体はもともとつながっているものです。でもそこをケアしないと、そのつながりがうまく働かなくなって、声が出づらくなってしまいます。そのつながりを取り戻し、引き出していくことが、私のレッスンの役割だと思っています。
声帯そのもののケアについては、50代からの声の対処法。かすれや出しにくさが気になる方へ<声帯編>の記事参考にしてみてください。
※この内容は音声配信でもお聴きいただけます。スタエフのエピソードはこちら(リンクを追加してください)