「声を出すときは、お腹に力を入れて!」 「ぐっと腹圧をかけて歌いましょう!」
歌や発声を習ったことがある方なら、一度は耳にしたことがあるフレーズではないでしょうか。
ですが、そのときにみぞおちのあたりをポコッと前に突き出すことが腹圧をかけることだと思っていませんか?
実はそれ、「間違った腹圧のワナ」にハマっているかもしれません。
1. みぞおちを押し出す=腹圧、ではない!
まず知っておいていただきたいのは、みぞおちを押し出すことと、腹圧をかけることはイコールではないということです。
本来の「腹圧」とは、息を吸ったり吐いたりする呼吸に合わせて、お腹の内側から自然に生まれる圧力のこと。
しかし多くの方が腹圧とは、お腹に力を入れることだと勘違いしてしまっています。
なぜお腹を固めると声が出にくくなるのか?
お腹の真ん中にある表面の筋肉(腹直筋)をギューッと強く収縮させると、以下のような悪循環が起こります。
- 腹直筋が硬くなる
- 肋骨や胸郭の動きがロックされる
- 呼吸が浅くなり、息がスムーズに使えなくなる
声を出すために必要なのは、力づくでお腹をコントロールすることではありません。 呼吸に合わせて、胸やお腹が伸びやかに動ける柔軟性を保っておくことが何より大切なのです。
2. なぜ多くの人が「みぞおち」を固めてしまうのか?
「ダメだと分かっていても、つい力が入ってしまう…」
その原因は、やっぱりお腹の奥深くにあるインナーマッスルがうまく使えていないと言わざるを得ません。
本来、身体を支えるべきインナーユニット(腹横筋など)がサボっていると、身体は焦って表面の大きな筋肉(腹直筋)を力ませることで「支えている感」を作ろうとします。
- 「お腹をカチカチに鍛える」
- 「お尻の穴をギュッと締める」
こうした意識も、強く意識しすぎるとみぞおち周辺に余計な力が入る原因になってしまうのです。
3. 「支える」と「固める」の決定的な違い
みぞおちという場所は、力を込める場所ではなく、むしろ「つねに呼吸できる余裕を残しておく場所」です。
似ているようで全く違う「支える」と「固める」の違いを整理してみましょう。
- 固める:動きと呼吸を力づくで止めてしまう状態
- 支える:身体がしなやかに動きながら、呼吸を続けられる状態
「声を支える=お腹を固める」という従来のイメージ、一度疑ってみる価値があると思いませんか?
4. 今日からできるワンポイント実践法
まずは一度、みぞおちをラクに緩めたまま声を出す練習をしてみてください。
もし緩めて歌ったときに、「なんだか声が弱くて頼りないな…」と感じた方は大チャンスです!
それは今まで「みぞおちの力み」で無理やり声を出していた証拠であり、本来の声と身体がしなやかに連動していくスタート地点に立ったというサインです。
まとめ:身体が変われば、声は必ず変わる
声を出すときにどうしても力が抜けない、あるいは力を抜くと声が出づらくなってしまうとお悩みの方は、一度ご自身の声と身体のクセにじっくり向き合ってみませんか?
表面の力みを脱ぎ捨てて、身体本来の響きを取り戻していきましょう。
「自分の発声タイプを知りたい」「身体と声を連動させたい」という方は、ぜひボイスアライメントレッスンをご検討ください。まずは自分の声と向き合うことが、変化の第一歩です!
※この記事は、stand.fmでお話しした内容を文章に詳しくまとめたものです。音声で聴きたい方は、ぜひこちらの音声(※埋め込みプレイヤーまたはリンク)からお聴きいただけます。