こんにちは、こんばんは。ヴォイス道のホームページへようこそ!
ボイスアライメントトレーナーの折笠マリコです。
歌っていて「高音が出ないな」と感じたとき、多くの方は「どうやって出すか」というやり方を探し始めます。でも本当に大切なのは、やり方を探すことより先に、「いま自分が何をしてしまっているのか」を感じ取ることです。
この、自分の身体の内側の状態を感じ取る力を、専門用語で「固有受容感覚」と呼びます。今日は、この受容感覚を育てることをテーマにお話しします。
やり方より先に、状態を感じる
例えば、歌で高音が出ないとき、喉を締めたり、肩に力が入ったり、声が裏返ったり——実は、出ない原因を自分で無意識に作ってしまっていることがほとんどです。
そのことに気づかないまま、テクニックや方法論を探しても、うまくいきません。今の状態と目指す状態のギャップが、自分では見えていないからです。
自分の状態に自分で気づけるようにならないと、ボイトレを受けていても、ずっと「先生、どうすればいいですか?」と頼り続けることになってしまいます。
ボイトレのゴールは、自分で修正できるようになること。それに、方法論を学んだとしても、それができているか自分で判断できなければ、自主練にも熱が入りませんよね。だからこそ、受容感覚を育てることが必要なんです。
受容感覚とは何か
受容感覚とは、身体の内側の変化——力の入り具合や、息の流れ、姿勢の傾きなどを感じ取るセンサーのことです。
レッスンに通ってくださっている生徒さんに、この感覚がとても優れた方がいます。身体の変化に気づくたびにすぐ笑顔になり、発声でも「なぜか分からないけど声が楽に出ます」と喜んでくれる。理屈より先に、身体で分かる状態です。
ただ、そんな感覚が良い方でも、来られた当初は、ちょっと片足をひきずるような歩き方の癖がありました。でも、ご自身では全く気づいていませんでした。どんなに良い感覚を持っていても、意識を向けて観察しなければ、脳はそれに気づけないんです。
そしてこの受容感覚、実は歌うこと以前に——感覚が鈍ってしまうと、日常生活の質にも関わってきます。身体のバランスが崩れていても気づけず、「いつもこうだから」と見過ごしてしまう。
しかし意識を向けて感じ取れれば、喉を痛める前にブレーキをかけたり、疲れや不調にも早く気づいたりできるようになります。
体幹ケアで受容感覚を育てる
鈍ってしまった受容感覚を取り戻すためには、意識して身体の内側を観察することが重要です。そのスイッチを入れ直してくれるのが、私がいつもお伝えしている、ストレッチポールを使った体幹ケアです。
ストレッチポールに寝転がって、手足をゆっくり動かしてみる。その時の、自分の身体の内側の反応に目を向けていく。いつもしない動作をしてみると、自分の体が今どんな状態なのかに気づけます。それを続けることで、受容感覚が育っていきます。
ゴルフやテニスなら、ボールの結果を見れば分かりやすいですよね。でも歌や発声は、うまくできているか自分では判断がつきにくい。だからこそ、「なんとなく」で終わらせず、身体の内側に意識を向けてみてほしいんです。
今日のワンポイント
高音が出ないとき、「どう出そう?」と頑張るのを、一度お休みしてみませんか。
- 今、身体のどこに力が入っているかな?
- 息は吐けてるかな?
- 出ない時、自分は何をしてしまっているかな?
そうやって、優しく自分の内側を感じてあげること。それが、受容感覚を育てる、確かな第一歩です。
声は体が楽器。とにかくまずは、身体の内側の感覚に意識を向けてみてください。意識を向け続けることで身体感覚は研ぎ澄まされてきます。それは必ず、歌うこと、声を出すことに活きてきますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた次回もよろしくお願いいたします。
※この記事は、stand.fmでお話しした内容を文章にまとめたものです。音声で聴きたい方は、ぜひこちらの音声(※埋め込みプレイヤーまたはリンク)からお聴きいただけます。